生まれてくる
赤ちゃんのために
受けた方へ~
宋 美玄 先生
監修:丸の内の森レディースクリニック院長・医学博士 宋 美玄 先生
このサイトは、妊娠中のみなさまとそのご家族が、アブリスボ接種後の注意点等を確認し、ワクチンの適正使用について理解していただくためのウェブサイトです。RSウイルス感染症に関する一般的な情報から、すでに接種を済ませた方向けの注意事項を含め、アブリスボに関する情報を幅広くご用意しております。必要な情報をご覧ください。
01
予防するためのワクチンと聞いたけれど、
そもそもRSウイルス感染症って
どんな病気だろう?
発生状況
RSウイルスは、赤ちゃんの呼吸器感染症の原因ウイルスのひとつで、
2歳までにほぼ全員が感染すると言われています1)。
国内では2歳未満のRSウイルス感染による受診者が
年間10万人以上発生すると推定されており2)、
感染の広がりやすさから
保育所や高齢者施設の
集団感染が問題となっ
ています3)。
国内のRSウイルス感染の年間発生数(推定値)2)
1) 堤裕幸: ウイルス 55(1): 77, 2005
2) Kobayashi Y et al.: Pediatr Int 64: e14957, 2022
3) 伊藤尚志: 臨床とウイルス 51(2): 81, 2023
RSウイルス感染による受診者数
10万人以上
約3万人
入院時の年齢4)
2016年4月~2017年3月、長野県内の11病院にRSウイルス感染症により入院したお子さんの年齢を調べたところ、生後1歳未満が全体の50.4%で、最年少は生後12日でした。
症 状
ほとんどは数日後に回復します。
しかし、一部では強いせきや呼吸困難などの症状へと進行し、
ひどい場合は入院が必要になることもあります。
RSウイルス感染症の症状の経過の例1,2)
1) 日本外来小児科学会編著: ママ&パパにつたえたい 子どもの病気ホームケアガイド 第5版 医歯薬出版: 35, 2020
2) 峯眞人: “15急性細気管支炎(RSウイルス感染症)” これだけは知っておきたい!よくみる小児疾患101-ベテランに学ぶ初期対応と処方の実際-第2版 五十嵐隆監修 総合医学社: 103, 2021
02
もちろん治療薬があるよね?
治 療
症状をやわらげるための対症療法※が用いられます。
主な呼吸器感染症の原因ウイルスと小児への使用が認められた治療薬・
ワクチン等1-4)
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ari.html)(2025年9月時点)
ウイルス
(製剤により生後4週より使用可能)
(製剤により新生児から使用可能)
mRNAワクチ
ン 等
(製剤により生後6ヵ月より使用可能)
生ワクチン
(製剤により生後6ヵ月より使用可能)
(ワクチンは妊婦への接種)
(製剤はあるがいずれも12歳未満の小児に適応なし)
(新生児より使用可能)
2025年9月時点
- *1:ワクチンの適応は、妊婦への能動免疫による新生児及び乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防です。
- *2:モノクローナル抗体の適応には、ハイリスク児のRSウイルスによる下気道疾患の発症抑制、すべてのお子さんに対するRSウイルス感染による下気道疾患の予防があります。ハイリスク児とは、早産児や生まれつき心臓や肺に基礎疾患がある、染色体異常などの小児のことです。
治療薬・ワクチン・抗体医薬についての詳細を知りたい方は医療従事者にご相談ください
1) 診療の手引き編集委員会: 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第10.1版: 39, 2024
2) 池松秀之ほか: 日本臨床内科医会会誌 39(2): 119, 2024
3) 佐藤晶論: 臨牀と研究 100(12): 1473, 2023
4) 板倉敦夫ほか: 日本周産期・新生児医学会雑誌 60(3): 344, 2024
04
どんな影響があるんだろう?
家族への負担
精神的・身体的負担のほか、
仕事の調整などにともなう経済的負担などがありました。
RSウイルス感染症による保護者・家族への負担(医師による評価)1)
②保護者への負担は小児科医の視点から回答した内容であり、実際に保護者が感じている負担とは異なる可能性がある。 など
喘息のリスク
そうでないこどもと比較して、その後の
喘息の発症率が高かったことが報告されています。
それぞれの年齢における喘息発症率の比較
1) Sigurs N. et al.: Pediatrics 95(4):500, 1995
2) Sigurs N. et al.: Am J Respir Crit Care Med 161(5):1501, 2000
3) Sigurs N. et al.: Am J Respir Crit Care Med 171(2):137, 2005
05
RSウイルス感染症から守るための
母子免疫ワクチン“アブリスボ”って
どんなワクチンなんだろう?
母子免疫とは
生まれたばかりの赤ちゃんは免疫機能(感染や病気から自分を守る機能)が
未熟ですが、母子免疫によって感染から守られています。
母子免疫とは、お母さんの免疫力が赤ちゃんに伝えられることで、おなかの中で
受け取る免疫力と生まれたあとに母乳から受け取る免疫力が含まれます。
母子免疫ワクチンは、妊娠中にお母さんがワクチンを接種することで、
おなかの中の赤ちゃんにお母さんの抗体が与えられることを利用したワクチンです。
生後半年くらいまで効果が期待できると考えられています。
胎児と新生児がもつ抗体の量のイメージ図
アブリスボとは
アブリスボは、妊娠24~36週の方を対象として、筋肉内に1回注射します。
ワクチン接種によって作られたRSウイルスに対する抗体が、
おなかの中の赤ちゃんに移行することで、生まれてきた赤ちゃんの
RSウイルス感染症の重症化を予防する効果が期待できます。
06
どんな副反応があるんだろう?
安全性
妊婦さんへの接種におけるアブリスボの副反応としては、
注射部位の痛み・赤み・はれ、頭痛、筋肉痛、じんましんなどがあります。
重大な副反応としては、ショック、アナフィラキシーがあります。(頻度は不明です。)
起こる可能性のある副反応
痛み、赤み、はれ
安全性
下記のような症状を引き起こす可能性があります。
血管迷走神経反射
(けっかんめいそうしんけいはんしゃ)
など
接種後に気になる症状等がある場合には、医師や看護師にご相談ください。
07
接種時期
とくに、妊娠28~36週の接種が望ましいとされています。
あなたのアブリスボ接種時期を
チェックできます
08
赤ちゃんへのおくりものとして、
RSウイルスから赤ちゃんを
守るための方法を考えてみませんか?
みなさまが無事に出産をむかえ、
新しい家族との日常を
安心して過ごすための手助けが
できましたら幸いです。
2025年10月作成 ABR47O001C